雲の王国(ひとりの時間に考えたこと)

30代。日々考えていることのあれこれ。ひとり時間の楽しみ方とか綴ってます。

「スポットライト 世紀のスクープ」を観て(風化させないための映画化)

アカデミー賞作品賞・脚本賞を受賞した「スポットライト」を観てきた。今もなお世界のどこかで起きているかもしれないこの事件を風化させないために、この映画は製作されらことが伝わってきた。それほど、ひどい事件だ。そしてこれは形は違えど、日本でも確実に起きている事件ではないだろうか、そう思った。

 

アメリカのボストンで起きたカトリック教会の牧師たちによる子供達への性虐待、そしてそれをカトリック教会が組織で隠蔽していたことを暴くまでの、地元の新聞記者たちの奮闘を描いている。と言っても、決して派手な映画ではない。淡々と、そして地道に取材を重ねていく描写のみ。大きな見せ場も臨場感のある音楽もない。だからこそ、よりリアルだった。

詳しいストーリーは公式サイトに載ってます。

でも、それでも一切飽きることなく映画に引き込まれるのは、この事件が実際に起きた事件であるため。俳優陣の演技も素晴らしかった。何より、製作陣がこの事件を風化させないために映画化するにあたって、苦労したことがうかがえる。これは私の勝手な推測だが、この事件を映画化するにあたり、どのように取り上げるかはかなり悩んだのではないだろうか。実際に起きたことを、被害者の目線で再現するか?そうしたら目を背けたくなるような映像になっただろう。R15になり見る人が限られる。また、やたら正義感が強くドラマチックに話を盛ったりしたら、途端にリアルから離れてしまう。

 

考え抜いて末に記者目線でこの題材を取り上げたのだろう。女性記者役のレイチェルも台本を初めて読んだ時は「こんな映画誰が見るの?」と思ったほど地味なものだと思ったそうだ。それでもアカデミー賞作品賞・脚本賞を受賞した。

 

なぜこの映画がアカデミー賞を受賞したのか。それは、それほどこの事件の闇が深く、根絶などされていなく、またみんなに思い出してもらい、そして語り継いでいかなくてはいけない事件だからだ。賞を取れば、注目される。全世界で。同じように被害にあって苦しんでいる人の癒しになれば、そして助けになれば、声を上げるきっかけになればという、そんな願いがアカデミー賞受賞の理由ではないだろうか。

 

少しネタバレになってしまうが、この事件が記事になったのは9.11の数ヶ月後のこと。アメリカはもちろん、世界中の注目は「いつ戦争が起こるのか」ということに注がれていた。そんな中での記事掲載だったので、注目はされていたが、それでも一部でのことだったのだろう。日本では報道されたのか?私の記憶にはない。日本ではカトリックの信者は多くないためだろうか。そこまで大きな報道はなかったように思える。

 

だから、今回映画化することで再び注目を集めることができたのは何よりという結果だったのではないだろうか。もちろんこれでゴールではなく、事件根絶に向けての再スタートが切られたのだろう。事件はまだまだ終わっていない。事件を風化させないための手段として「映画として残す」という方法もあることを知った。

 

この映画を見ていて感じたことがある。冒頭でも述べたが、日本でも形は違うが同じようなことが起きていると感じる。長くなってしまいそうなので、そのことについてはまた次回に書きたいと思う。

 

おわり

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