雲の王国(ひとりの時間に考えたこと)

30代。日々考えていることのあれこれ。ひとり時間の楽しみ方とか綴ってます。

名作はやっぱり面白い。(老人と海)

「老人と海」、読んだことあります?
ヘミングウェイの「老人と海」です。
 
私はつい最近、やっと読みました。
名作と名高い本作を三十路を超えてから、読んだわけです。遅いかな?青春時代に読んどくべきだったかな?
 
でもね、青春時代、若かりし頃に「老人」というキーワードが入った本をわざわざチョイスするのは至難の技じゃないですか?じいさんの話より、山田詠美の「放課後の音符」を読んでドキドキしたい!って思うのが女子高生(15年くらい前の)ってもんじゃないですか。あ、私は池波正太郎の「剣客商売」を愛読するような女子高生でしたけどね。
 
「老人と海」に話を戻しますが、これね、1952年に発表された作品なんです。今から62年前。ひと昔前。そして何度も言いますが、じいさんが主人公。キューバの海を舞台にひとりで粛々と巨大な魚と戦う話。それだけ。
 
うん、それだけなんだけどね、それだけなんだけど、めちゃめちゃ面白いんです!!
 
予想外ー!!自分的にすごく予想外に楽しめちゃってびっくりしました。
 
じいさんと魚の戦い、というか耐久戦が4日間にも及ぶんだけどね、いつ、どっちがどうゆう風に勝負にでるの?ってか、じいさん生きて帰れるのか?みたいなジリジリ感がすごいのよ。私、焦らされるの大好きなの。
 
それとね、景色や海、生き物に対する描写が生き生きとして、じいさんがひとり小舟で海にいる様子が頭に映像として浮かんできました。その風景は静かな孤独、自問自答の葛藤、そして命の躍動と移り変わり、気がつくと自分自身も小舟に乗っているような錯覚に陥りました。
 
あ、ごめん、それは盛りすぎだね。でも、それくら夢中になって読んでしまいました。ヘミングウェイ、おそるべし。
 
あとね、特筆すべきはじいさんの男っぷりだよ。なんてたってね、こん棒でサメと戦かったりするからね。それも一匹や二匹じゃないから、次から次へと襲いかかるから。それをたったひとりで殺ってるからね。アメイジングでしょ?サメをこん棒ひとつで殺るだなんて、どんだけ強いんだって話ですよ。頼れるじいさん、いや、本当にじいさんなのか?本当はもっと若いんじゃないか?
 
あとね、私がびっくりしちゃったのがね、じいさんの傷の癒し方。傷ついた右手をね、海にボチャンと浸すんですよ。オーマイガー!それ塩水が染みるんちゃいますか?って思うよね。普通は染みちゃって劇痛だよね?でもじいさんは、冷たい海水で傷の痛みを麻痺させるために手を浸すんですよね。染みるとか通り越した斜め上の発想。私には真似できない‥!男気溢れてます、じいさん。
 
物語そのものも純粋に面白いのですが、途中でこんな風にちょいちょい突っ込みどころもあって、違う意味でも楽しめました。他にもいっぱい書きたい感想があるけど、もう書き切れないよ。
 
でね、読了した後に、とあるテレビ番組でタコの漁をする漁師さんが紹介されてたんです。夜明け前に漁に出て、朝焼けの中、少しずつ水平線が明るくなる映像が映し出された時に「あぁ、じいさんもこんな風に朝の景色を見てたのかなぁ」ってなんか感動しちゃって。本を読みながら想像していた景色と、テレビに映し出された景色がリンクした不思議な瞬間でした。
 
テレビではなく、実際に朝焼けの海を見に行きたくなりました。じいさんの見た風景、ヘミングウェイが書いたその風景を、いつかキューバまで見に行けたらいいな。
 
こうして「老人と海」は私の好きな一冊になりました。
 
おわり